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何を着ても、どう着こなしても。

最近では、弊ブログにも、定期的にご覧頂く読者の方が少なからずいらっしゃって、大変ありがたく思っております。この様な、拙い備忘録的ブログが、どなたかのお役に立っているならば、嬉しい限りでございます。
また、スーツやジャケット等の着方や手入れの仕方について、多くのご質問のメールを頂戴するようになりました。
今回は、最近多くのご質問を頂く、着るものの選択と着方について、私なりの簡単な意見を書かせて頂きます。
着るものの選択については、銀行とかお役所などの、所謂カタイお勤めの方から、派手な・・・、例えばピンクのシャツやタイは避けるべきかといった類のお話、また、着方については、お仕事のカタイ・ヤワラカイに限らず、普段着たことの無いものにチャレンジしたいが、経験が無いだけに失敗するのでは?と不安、といったお話が最も多くありました。

私の意見は、「お好きになさればよろしいでしょう。」です。但し、ご自分が相手の立場に立って、不快と感じることはなさらないこと、これに尽きます。

それだけでは、些か乱暴な申し上げ様ですので、以下、補足として書かせて頂きます。
どんな人でも、服装をみっともなく、みすぼらしくしたいと思う方はいない筈です。服装に於いて、何かのチャレンジをしたい、と思うことは、そういった向上心の顕れとも見ることが出来、決して悪いことではありません。
しかしながら、自分の服装について興味や疑問を持ち始めた人々には、それを商売にする人や、ゴルフの教えたがりの先輩達のお話の様な「罠」が待ち受けています(笑)。
どこかでお聞きになったことが無いでしょうか? 日本の政治家や経営者の服装が、如何に出鱈目で、世界のVIP(笑)に馬鹿にされている、というようなお話。本当だと思いますか?
確かに、政治家や、役人、経営者の服装の「多く」は、褒められたものではないと思います。しかしながら、馬鹿にされている、というのは嘘になります。「なんか妙だな。」とか「変わった奴だな。」程度の認識でしょう。ちょうど、外国人の観光客が、着慣れない和服を着ているのを見た日本人が、心の中で思う評価と同じレベルでしょう。そういうところを、服飾を商売にする人達や、所謂、服飾ゴロの人達は、自身のコンプレックスを少々投映しながら、商売のために歪曲し、拡大するのです。「人はパンのみによって・・・」を「パン無し」にしてしまうのです。異常に外国を持ち上げ、自国を卑下するこの行為が、私は大嫌いです。

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着こなしをはじめとする、生活の素晴らしいスタイルの実例として、しばしば、欧州の貴族王族が取り上げられますが、彼らの多くは、「自分のスタイル」などは持っていません。執事などが、つまり他人が整えた服装を着ているだけの人間が多いのです。スタイルというよりも、「一族もしくは国の伝統の一部」なのです。無論、その中にも、自分の好みを持っている方と、全く無い方、という違いは有りますが、ウインザー公の様な人は例外中の例外です。しかしながら、公は、服装が自らの存在意義を示すものでもあり、自身の関わるビジネスとも密接な繋がりがあったから、あのようにならざるを得なかった、という見方もあります。それに、雲上人達は、相手の事などあまり気にしているものではありません。彼等の集まりに入ると、同じような格好をしていても、微妙に同じになってはいなくて、それで部外者が勝手に委縮してしまう、というケースが殆どです。

要は、「たかが服装」。おおらかに、好きなものを好きなように着ればよいのです。
ピンクのシャツを着て、仕事上差支えが出ても、それは、「自身の選択の結果」なのです。いい目が出ることもあれば、そうでない時も当然あるものです。一つの選択をするという事は、その結果に伴う負の面、つまり、リスクともセットです。そうした「選択」と「決断」の積み重ねが、経験値になるのです。それでは、大人として社会人としてあまりに乱暴だ、とお考えであれば、恋人や連れ合いとのデートの時にでも始められれば如何でしょう? 「あら、ピンクのタイ? 珍しいわね。」とか、言われるようであれば、「まだまだだな。」と思えばいいのです(笑)。
逆説的な意味も含めて、所詮、服装などというものは、その程度のものなのです。つまらない人間を魅力的にしたり、身長を20cm伸ばしたり、醜男をハンサムにする力は無いのです。
それよりも、清潔で草臥れていないシャツ、皺の無い、ピッとクリースの入ったパンツ、きちんと手入れされた靴、そういった「身だしなみ」に気を付けるべき点が多いと思います。他人が、好悪、快・不快を印象付けられる服装の要素と言えば、まずこれでしょう。
どなたかは忘れましたが、スーツ関係の方が、「どのスーツにどんなシャツとタイを合わせ、どんな靴を履くかは、服装について男性が朝考えるべき事ではない。上着にブラシがあたっているか、パンツのクリースはきちんと入っているか、靴はちゃんと磨かれているかを考えるべきだ」という事を書かれているのを記憶しています。きちんとした方もいらっしゃるのだなぁ、と嬉しくなったことを覚えております(笑)。

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さて、「たかが」とくれば、「されど」。そう、如何に頑張ろうとも、努力しようとも、どうにもならない経験値の違いです。服装の素敵さには、そうしたものが絶対的にあるのです。それは、茶の湯の作法の様なもので、長年の経験で身に付いているから、所作も自然で、時に崩れた時のリカバリーも自然、また、意図的なルール破りも自然にできる訳です。『自分の問題とルール』の頁でも書かせて頂きましたが、経験値の無い者が、こうした伝統やルールについてにわか仕込みをし、「守ろう守ろう」と必死になっている姿ほど滑稽なものはありません。決して、無知がよいという事ではありませんが、経験値については過度に意識せずに、なるべく闊達にご自身の経験を積んでゆかれることをお勧めします。これを過度に意識させ、皆さんのお財布の中身を減らそうという人間が、世間にはたくさんおりますから(笑)。
ご自身の選択と、判断と、責任で、気負わず気楽に、自意識過剰にならず、劣等感に苛まれず、楽しく、しかし、思いやりのある優しい服装をなさって頂きたいと思います。そういった配慮は、洋の東西を問わず、何処ででも周囲に通じるものです。
そして、間違っても、多くの洋服屋さんの店員さんのような、元は山出しのアンちゃんの虚言を容れられることの無いようにと、心から祈って止みません(笑)。
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