雪の内に
いかでをらまし
うぐひすの
こゑこそ梅の
しるべなりけれ

最近、定家の歌が好きだ。
人物の情けなさが鼻について喰わず嫌いだったけれど、一度魅せられるとぐいぐい惹きつけられる。
濃厚ではない。むしろ淡すぎる印象を受けるが、智性を基とした怜悧な抑制が効いた歌は極上の吸物のような味わいがあると思う。
言葉の美しさを、三十一文字の中にここまで凝縮できた歌人はいないのではないか?声に出しても読んでもいいし、黙して目で追ってもいい。
万葉から古今を識り尽くした深さ、磨きぬいた言葉のみを選び採る厳しさから詠じだされる歌は、透き通って輝く水晶の珠のようだ。
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