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××の大靴。

先日、久々に私の靴を仕立ててくれた英国の靴屋さんと色々積もる話をしました。その話の中のことですが、彼らが最近の日本の顧客に対して疑問に思うことは、なぜ靴を大きめに作りたがるのか?ということだそうです。これには、私も全く同感で、特にスーツを着る若人達が、なぜ靴ばかり目立つような、デッカいトンガった靴を履くのか疑問に思っています。

私が、その靴屋さんに説明したのは、考察するに以前のお国の既成靴の作り方に原因が有るのでは?ということでした。ドレスシューズは、トゥが細長く見える方が優美に見えます。ところが、大体の日本人は、アングロサクソンの人間に比べて足が小さいので、英国の既成靴を履くと子供の靴のようになってしまいます。以前の英国の既成靴の多くは、甲から前の部分で長さの調整をしていました。例えば、7サイズのバランスで甲から前だけを短くして6サイズにしてあれば、フロントが寸詰まりでカッコの悪い靴になってしまうのは目に見えています。

そこで昨今の既成靴ですが、この従来既成靴の欠点に気付いた日本のバイヤーさん達などが取り入れたのが、ロングノーズという手法です。木型を調整して捨て寸(つま先に余る空間)を大きく取り、レースアップの部分を短くすることで、バランスのよいシルエットを得られるようにした訳です。更に、販売者によっては、従来よりもハーフからワンサイズ大きい靴を顧客に勧めるよう指導されていたりします。
靴だけを見れば、既成靴は確かに以前のものより綺麗なシルエットになりました。あくまで、靴だけ見れば。

しかし、これを回転のよい商売としてモード化しようとする思惑のために、シルエットは徐々に極端になっていき、今では妙にとんがった大き過ぎる靴も珍しくありません。

これを、一般的日本人、つまり、欧米人に比して脚が短く背が低い人間が履くとどうなってしまうでしょうか?加えて昨今流行の、細身短丈のシングルのスーツを着用して、トラウザースの裾を短めにするなんぞしてしまったら??そう、靴が歩っているように見えてしまいますよね。それがどうしていけないの?とおっしゃる方もいらっしゃることでしょう。女性には余計わからないことかもしれませんね。

なぜかと言えば、靴のシルエットの大前提として、バランスさえとれていれば「靴は小さい方がエレガント。」なのです。ドレスシューズというものが誕生して以来、伝統的、美意識的にそうなのです。疑問に思う方達には、「日の名残り」という小説か映画をご覧になって頂きたいですね。主人公の執事が仕える、ダーリントン卿の邸宅で開かれた国際会議に来英したフランス代表は、小さ過ぎる靴を履いて来てしまって、痛くて歩けなくなってしまい、主人公に助けを求めます。大きな靴を履くということは、そのくらい恥ずかしいことだったのです。

欧州の上流階級において、大きな靴が忌避される理由は、靴を小さく作れるのは革靴だけで、昔は下層の人間は木靴を履いていたからだとも言われています。木靴では、脚に合わせた大きさよりも、かなり大きなものになってしまいますから、その違いを明確にしたかったのでしょう。

勿論、その国なりの状況やら気候やらが有りますし、個人の好みというものも有りますから、それに応じた装いや個人の好みを否定するつもりはありません。しかし、和服をへんちくりんな抜き衣文に着付けた外人さんを見て、私達はどう思うでしょうか?それは、状況やら気候以前の問題であると思うのですが如何でしょう?私には、デッカイ靴は、明らかにへんちくりんな和服の着付けに属する類の話だと思えてしまいます。

男物のドレスシューズは高価です。それだけに長く履ける優美で履き心地の良い本物に対価を支払って頂きたいと思います。素晴らしい革で、足に合った小柄で優美な靴を作ってくれる靴屋さんは、英国にも、そして我が日本にもちゃんと存在します。

そこら辺のところを、勘違いしたクライアントさんには優しく 諭してあげて欲しいと申し上げると、件の英国の靴屋さん、「なかなか興味深い話だ。」と熱心にメモっておられました(笑)。
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