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誰が袖にもの想う。

前回、上着の前釦の話を書かせて頂いたので、釦続きで(笑)、今回は袖の釦について書かせて頂きます。

最近は、男性服の量販店でも仕立て服の仕様などを取り入れて、色々と凝ったディテールを実現していますが、既成のスーツで最も多く目にするのが、本開き或いは本切羽と呼ばれる、袖の釦が実際に開け閉じできる仕様です。なぜ多く目にするかといえば、この釦の幾つかを外している人が多いからです。

スーツの袖釦は、前釦の縦配列+一個を配するのが普通です。つまり、シングルブレステッド三つ釦とダブルブレステッド六つ釦の場合は四つになる訳です。この袖釦が実際に開け閉じ出来るのは、上着を脱ぐことがとても無作法であると考えられていた時代に、腕まくりをするための名残りです。本開きであることが、必ずしも手の掛かった仕立てである訳ではありません。では、何故凝ったディテールであるといわれたり、服好きの一部の人達に受けるのでしょう?それは、袖に穴を開けてしまうと、袖丈の直しが困難になるため、袖丈が着る人にきちんと合っていなければならない、つまり仕立てたものであることの間接的な証明にできるからです。また、穴を開けた袖を直すには、上着の肩を外して直さねばならず、当然のことながら、袖の先端から丈を直すよりも高度な技術が要求されます。袖の本開きは、自分がそれができる仕立て屋さん或いは服屋さんの顧客であることの間接的な証明と出来るという訳です。

しかしながら、開ける必要も無いのに閉じておくべき釦を外して、袖が本開きであることを見せるというのは、とても無作法でだらしのない行為です、個人の好みといわれればそれまでですが、礼儀作法上はして頂きたくないものですね。例外的に、この所作が様になるのは、世間がその人を洒落者であると認知しており、かつ忙しくて開けたのを閉じ忘れたということをスマートに演出できる立場の人に限ります。以前のフィアット・グループの会長、ジョバンニ・アニエッリ氏が、シャツのカフの上から腕時計をしていたように。仲間内でお洒落とか、服好きとかいわれている程度の方達は、無様になるだけですので決してすべきではないと思います。

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この袖釦の本開き、カントリージャケットに施すのは、実はエキセントリックな行為であるということを知らない方が多いことにも驚きます。ツイードの生地などで仕立てるカントリージャケットは、猟をしたり釣りをしたり、野山を散策したりするための上着です。袖の釦は、銃を構えた時に音を立てたり、森の中で木や草などに引っ掛かったりして邪魔になりました。そのため、カントリージャケットの袖には釦をつけなくなったのです。ところが、今度は釦が無いために袖が早く擦り切れてしまうようになりました。そこで今度は、釦を一つだけ、それも前釦と同じ大きさの釦をつけました。釦の数が多いと邪魔になるからで、釦穴を開けると、釦を掛けるために釦の脚が長くなり、やはり邪魔になるために、本開きにはされませんでした。つまり、カントリージャケットは、本開きでないのが実用にもかなうクラシックなディテールなのです。80年代に流行った、デザインスーツの袖釦に大きな釦を少なく配するのは、このカントリージャケットのディテールの転用で、カントリージャケットに袖釦をズラズラとたくさん配して、釦穴を開けたりするのは同様の、良くいって前衛的蛮勇と申し上げるべきでしょうか(笑)。

本開きの袖釦が、その上着の素晴らしさを語っている場合も確かにあります。しかし、袖釦の穴の開いていないスーツが良くないということではありません。もっと全体的な着こなしや仕立て具合に目を向けられて、装いを楽しんでいただきたいものです。そして、どんなに素晴らしい仕立てでも、必要の無い時は上着の袖釦は閉じておいて欲しいものです。見る人が見ればわかるのですし、現金をたくさん持っているからといって、チーフをさす胸ポケットにお札を入れて見せびらかすような野暮は、しないにこしたことはないと思われませんか(笑)?
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