胸にいるべきハンカチーフ。
濡れた手を拭いたり、鼻をかんだり(日本人にはあまりいらっしゃいませんが・笑)するためにハンカチーフがありますが、上着の胸ポケットに挿すポケットチーフをこれと別のものと思っている方が多いようです。
結論から申し上げてしまうと、同じものです。昔は、男性の上着の左胸に、今の上着のようにポケットはありませんでした。ですからハンカチーフは、左の袖口(利き手と反対の)に挿し込まれたりしていたのです。これが不便であったのでしょうか、それが全ての理由ではありませんが、上着の胸のポケットは、ハンカチーフを挿すために生まれたと言ってもいいのです。
ハンカチーフとポケットチーフを全く別のものと誤解させる原因は、ポケットチーフが実用のものではなく飾りである思われており、一部の服飾関係者達が「飾りであるから実際に使用してはいけない」とのたまっていることに因るようです。
これは、半分は正しく、半分は間違っているのです。飾りとして用いるか、実用として用いるか、どちらとしても用いるかは、各人の自由裁量です。~ねばならないということはありません。
では、実際問題としてどのように用いるかです。まず、実用にする場合ですが、以前の項でも申し上げましたが、男性の装いは周囲への思い遣りであり、礼儀でもあります。ですから、手を拭いて濡れた部分や汚れた部分が見えているのはNGです。かんだ鼻が見えるなどは論外でしょう。また、よく出し入れする訳ですから、しまい方、つまり挿し方もあまり「い汚く」挿すのはNGですね。使用した面を包み込んで、整然と畳んで胸にもどす。何かお気付きになりませんか?そう!四角や2ピーク、3ピーク、パフなどのポケットチーフの挿し方は、こうして生まれてきたのです。つまり、実用にする場合は、使用前後の処置をきちんとしていれば、自然と飾りとしても機能するのです。準備と後片付けがきちんとできることが大人の条件であるのと同じですね(笑)。
さて、飾りで用いる場合には使用しない訳ですから、重力の作用によってポケットの中に姿を消しそうになっているハンカチーフを、人目につかない場所でさりげなく整える以外にすることは無いと思えます。が!一つだけ覚えておかねばならないことがあります。洗面所やトイレ以外の衆人環視の中で、実用として別に持っているハンカチーフを取り出してはいけない、ということです。これも、以前の項で書かせて頂きましたが、男性の装いのアイテムというのは、その「スタイル」として常に実用的に見えなければいけないものです。故ハーディ・エイミス氏も生前よくおっしゃっていましたが、「胸ポケットにハンカチーフがありながら、別のハンカチーフを取り出すのは、男性が見せるもっともみっともない仕草である」のです。例えば、パートナーや恋人と屋外を散策する際、彼女が草の上やベンチに座る場合は、惜しげもなく胸から抜いて敷物として供さなければなりません。例えそれが、ネクタイよりも高価なシルクの上物だとしても。同じくパーティーなどでも、ご婦人や目上の方が必要とされている時は、躊躇無く引き抜いて供さなければなりません。飾りであるが故に、粋に伊達に用いなければならないのです。映画「恋に落ちたシェイクスピア」で、ラストに近いシーンで、水溜りを前にした女王陛下に男性が上着を脱いで水溜りにかぶせ絨毯変りに供する、あの心意気です。スタイルというものはアイテムによって完成するのではなく、装う人の振る舞いによって完成するものです。
最後に、ハンカチーフの色柄ですが、Vゾーンに合わせても合わせなくても構いません。そもそも論的に書かせて頂ければ、胸に挿すハンカチーフはシャツに合わせたり対応させるのがセオリーですし。素材もコットン、リネン、シルク、何でも自由です。その日の装いと穏やかな、落ち着いた調和がとれていれば、それでいいのです。ただ、ネクタイと共地のハンカチーフだけはNGです。理由は、用途の違いを考えれば自明ですね(笑)。フォーマルシーンでは、正礼装の場合は、一応、シルクかリネンの白と決まりごとがありますが、これも絶対的なものではありません。貴兄が、故イブ・サンローラン氏のように、タキシードに真紅のホーズを履いても周囲に不自然を感じさせない真の洒落者であれば、どのような色柄を選ばれようと思いのままです。私は、やや小振りで薄手の目の細かい純白のリネン・ローンのハンカチーフを主に愛用しております。
しかしながら、私自身数枚しか所持しておらず、極く稀にしか出会えませんが、目が細かく、毛羽を抑えて薄く織られたラミー・ローンは素晴らしく、更に真正のアイリッシュリネン・ローンこそが、ハンカチーフには最高の素材だと思います。真正のアイリッシュリネンは、極淡く金色がかっていて、まるでシルクのような繊細な光沢と質感で、水分の吸収・発散性にも優れ、また、そのしなやかさはリネンとは思えないほどです。ラミーに関しては、我が国では昔から、越後上布や小千谷縮として珍重してきましたが、その理由は、上質なものはその質感と機能性の両面に優れ、強度も天然繊維中最も優れているからなのです。
ラミー・ローンやアイリッシュリネン・ローンのハンカチーフを使う時には、自分のハンカチーフが全てこんな極上のローンだったらなぁ・・・、などと叶わぬ想いを馳せてしまうのです(笑)。
結論から申し上げてしまうと、同じものです。昔は、男性の上着の左胸に、今の上着のようにポケットはありませんでした。ですからハンカチーフは、左の袖口(利き手と反対の)に挿し込まれたりしていたのです。これが不便であったのでしょうか、それが全ての理由ではありませんが、上着の胸のポケットは、ハンカチーフを挿すために生まれたと言ってもいいのです。
ハンカチーフとポケットチーフを全く別のものと誤解させる原因は、ポケットチーフが実用のものではなく飾りである思われており、一部の服飾関係者達が「飾りであるから実際に使用してはいけない」とのたまっていることに因るようです。
これは、半分は正しく、半分は間違っているのです。飾りとして用いるか、実用として用いるか、どちらとしても用いるかは、各人の自由裁量です。~ねばならないということはありません。
では、実際問題としてどのように用いるかです。まず、実用にする場合ですが、以前の項でも申し上げましたが、男性の装いは周囲への思い遣りであり、礼儀でもあります。ですから、手を拭いて濡れた部分や汚れた部分が見えているのはNGです。かんだ鼻が見えるなどは論外でしょう。また、よく出し入れする訳ですから、しまい方、つまり挿し方もあまり「い汚く」挿すのはNGですね。使用した面を包み込んで、整然と畳んで胸にもどす。何かお気付きになりませんか?そう!四角や2ピーク、3ピーク、パフなどのポケットチーフの挿し方は、こうして生まれてきたのです。つまり、実用にする場合は、使用前後の処置をきちんとしていれば、自然と飾りとしても機能するのです。準備と後片付けがきちんとできることが大人の条件であるのと同じですね(笑)。
さて、飾りで用いる場合には使用しない訳ですから、重力の作用によってポケットの中に姿を消しそうになっているハンカチーフを、人目につかない場所でさりげなく整える以外にすることは無いと思えます。が!一つだけ覚えておかねばならないことがあります。洗面所やトイレ以外の衆人環視の中で、実用として別に持っているハンカチーフを取り出してはいけない、ということです。これも、以前の項で書かせて頂きましたが、男性の装いのアイテムというのは、その「スタイル」として常に実用的に見えなければいけないものです。故ハーディ・エイミス氏も生前よくおっしゃっていましたが、「胸ポケットにハンカチーフがありながら、別のハンカチーフを取り出すのは、男性が見せるもっともみっともない仕草である」のです。例えば、パートナーや恋人と屋外を散策する際、彼女が草の上やベンチに座る場合は、惜しげもなく胸から抜いて敷物として供さなければなりません。例えそれが、ネクタイよりも高価なシルクの上物だとしても。同じくパーティーなどでも、ご婦人や目上の方が必要とされている時は、躊躇無く引き抜いて供さなければなりません。飾りであるが故に、粋に伊達に用いなければならないのです。映画「恋に落ちたシェイクスピア」で、ラストに近いシーンで、水溜りを前にした女王陛下に男性が上着を脱いで水溜りにかぶせ絨毯変りに供する、あの心意気です。スタイルというものはアイテムによって完成するのではなく、装う人の振る舞いによって完成するものです。
最後に、ハンカチーフの色柄ですが、Vゾーンに合わせても合わせなくても構いません。そもそも論的に書かせて頂ければ、胸に挿すハンカチーフはシャツに合わせたり対応させるのがセオリーですし。素材もコットン、リネン、シルク、何でも自由です。その日の装いと穏やかな、落ち着いた調和がとれていれば、それでいいのです。ただ、ネクタイと共地のハンカチーフだけはNGです。理由は、用途の違いを考えれば自明ですね(笑)。フォーマルシーンでは、正礼装の場合は、一応、シルクかリネンの白と決まりごとがありますが、これも絶対的なものではありません。貴兄が、故イブ・サンローラン氏のように、タキシードに真紅のホーズを履いても周囲に不自然を感じさせない真の洒落者であれば、どのような色柄を選ばれようと思いのままです。私は、やや小振りで薄手の目の細かい純白のリネン・ローンのハンカチーフを主に愛用しております。
しかしながら、私自身数枚しか所持しておらず、極く稀にしか出会えませんが、目が細かく、毛羽を抑えて薄く織られたラミー・ローンは素晴らしく、更に真正のアイリッシュリネン・ローンこそが、ハンカチーフには最高の素材だと思います。真正のアイリッシュリネンは、極淡く金色がかっていて、まるでシルクのような繊細な光沢と質感で、水分の吸収・発散性にも優れ、また、そのしなやかさはリネンとは思えないほどです。ラミーに関しては、我が国では昔から、越後上布や小千谷縮として珍重してきましたが、その理由は、上質なものはその質感と機能性の両面に優れ、強度も天然繊維中最も優れているからなのです。
ラミー・ローンやアイリッシュリネン・ローンのハンカチーフを使う時には、自分のハンカチーフが全てこんな極上のローンだったらなぁ・・・、などと叶わぬ想いを馳せてしまうのです(笑)。
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