Black in the Dark.
先日、知人の若者に「黒の礼服ってダサいですよね~。」と同意を求められて困ってしまいました。確かに、日本人がネクタイだけを白と黒で取り替えて、慶事と弔事の両方に着込む黒の礼服は、お世辞にも素敵だとは言えません。しかしこれは、黒の礼服の素材や仕立て方、そして着こなし方によるものだと私は思っています。
まず、黒の上下に白のシャツ、白や黒のタイという組み合わせは、最もコントラストが強い組み合わせですから、素材の質が際立って見えてしまいます。黒の礼服は、戦後の貧しい時期に安価な既製品としてスタートしましたが、今尚、その影響で安価な量販店か、安売りコーナーにしかありません。これでは、どうしても貧相に見えてしまうのは仕方がないことなのです。タキシードやテイルコートを、なぜスーツよりも高価な生地で仕立てるかをお考えになれば自明のことです。
戦後の物の無い時期には、安価であることと、慶弔事にオールマイティに着用できる利便性が受け入れられたのでしょう。それともう一つ、和服の礼装が黒紋付であることも、黒のスーツを礼服として着ることを日本人に受け入れさせた大きな理由でしょう。そもそも、黒と白の組み合わせ自体は、悪くないのです。フォーマルな席には、黒と白のモノトーンの組み合わせが最も合いますし、エレガントです。タキシードやテイルコートを着て、ボーイのように見えてしまうか、VIPのように見えるかは着こなし次第で、やはり、それらを着用する本人の問題でしょう。
慶弔事ができて、慌てて黒のスーツが必要になり、普段は着ないから安物でいいと量販店に走り、タイもシャツも靴下もいっぺんに揃えるような心がけでは、黒の礼服云々ではなく、服を素敵に着こなすことなど不可能というものでしょう。第一、その礼事を主催する方達に対する思い遣りにももとるでしょう。
誂えであっても既製品であっても、悪くない生地を使った身体によく合ったスーツを選び、白のシャツは少し贅沢な生地を使ったものを選んで、白のタイの替わりにシルバー系のマックルズフィールドやスピタルズフィールドの生地のタイを、黒のタイの代わりには黒のフレスコ織りのタイなどを合わせると、とても端整で素敵になると思います。黒のシルクの靴下に、よく磨かれた黒のオックスフォードシューズを合わせることは言うまでもありませんね。慶事ならば、シャツを薄いブルーのストライプにしたり、タイをボウタイにしてみるのも素敵です。エレガントなカフリンクスがあれば尚いいでしょう。
要は、黒のスーツだけを特別なものであると考えずに、ダークスーツの一つだと考えれば、おのずと呪縛から離れられるのではないかと思います。黒の礼服=ダサい・格好悪い、という短絡な考えではなく、「ダサいと言われているものでも、俺が着ればカッコいい。」くらいの意気を持って頂きたいものです。現在の日本の若い男性に欠けているのは、まさにこういう独自性、覇気ではないかと思います。この点、女性は元気なんですけれどね~(笑)。
因みに、この黒の礼服ですが、略礼服などと言われていますが、正礼装でも準礼装でもありません。ダークスーツと同等なフォーマリティーしか持っていませんのでお間違えのないように。もう一つ、以前ボウタイについて書かせて頂いた折に、メールを頂戴しましたので、この場を借りてお答えしておきますが、オーケストラの指揮者や楽団員の演奏時の服装は、礼装ではなく「楽装」と言います。違いは、招待客や主催者の装いが礼装で、楽装は召使のそれに近いものであって、加えて演奏の妨げにならないように独自の着崩しが慣習として許されていますので、くれぐれもフォーマルな装いの折りに、ご自分の装いの直接のご参考にはなさらないように・・・。
まず、黒の上下に白のシャツ、白や黒のタイという組み合わせは、最もコントラストが強い組み合わせですから、素材の質が際立って見えてしまいます。黒の礼服は、戦後の貧しい時期に安価な既製品としてスタートしましたが、今尚、その影響で安価な量販店か、安売りコーナーにしかありません。これでは、どうしても貧相に見えてしまうのは仕方がないことなのです。タキシードやテイルコートを、なぜスーツよりも高価な生地で仕立てるかをお考えになれば自明のことです。
戦後の物の無い時期には、安価であることと、慶弔事にオールマイティに着用できる利便性が受け入れられたのでしょう。それともう一つ、和服の礼装が黒紋付であることも、黒のスーツを礼服として着ることを日本人に受け入れさせた大きな理由でしょう。そもそも、黒と白の組み合わせ自体は、悪くないのです。フォーマルな席には、黒と白のモノトーンの組み合わせが最も合いますし、エレガントです。タキシードやテイルコートを着て、ボーイのように見えてしまうか、VIPのように見えるかは着こなし次第で、やはり、それらを着用する本人の問題でしょう。
慶弔事ができて、慌てて黒のスーツが必要になり、普段は着ないから安物でいいと量販店に走り、タイもシャツも靴下もいっぺんに揃えるような心がけでは、黒の礼服云々ではなく、服を素敵に着こなすことなど不可能というものでしょう。第一、その礼事を主催する方達に対する思い遣りにももとるでしょう。
誂えであっても既製品であっても、悪くない生地を使った身体によく合ったスーツを選び、白のシャツは少し贅沢な生地を使ったものを選んで、白のタイの替わりにシルバー系のマックルズフィールドやスピタルズフィールドの生地のタイを、黒のタイの代わりには黒のフレスコ織りのタイなどを合わせると、とても端整で素敵になると思います。黒のシルクの靴下に、よく磨かれた黒のオックスフォードシューズを合わせることは言うまでもありませんね。慶事ならば、シャツを薄いブルーのストライプにしたり、タイをボウタイにしてみるのも素敵です。エレガントなカフリンクスがあれば尚いいでしょう。
要は、黒のスーツだけを特別なものであると考えずに、ダークスーツの一つだと考えれば、おのずと呪縛から離れられるのではないかと思います。黒の礼服=ダサい・格好悪い、という短絡な考えではなく、「ダサいと言われているものでも、俺が着ればカッコいい。」くらいの意気を持って頂きたいものです。現在の日本の若い男性に欠けているのは、まさにこういう独自性、覇気ではないかと思います。この点、女性は元気なんですけれどね~(笑)。
因みに、この黒の礼服ですが、略礼服などと言われていますが、正礼装でも準礼装でもありません。ダークスーツと同等なフォーマリティーしか持っていませんのでお間違えのないように。もう一つ、以前ボウタイについて書かせて頂いた折に、メールを頂戴しましたので、この場を借りてお答えしておきますが、オーケストラの指揮者や楽団員の演奏時の服装は、礼装ではなく「楽装」と言います。違いは、招待客や主催者の装いが礼装で、楽装は召使のそれに近いものであって、加えて演奏の妨げにならないように独自の着崩しが慣習として許されていますので、くれぐれもフォーマルな装いの折りに、ご自分の装いの直接のご参考にはなさらないように・・・。
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