私版 シャツのクリーニング。
私は以前にこのブログで、服や靴の手入れについて冗長な話をするつもりはありません、と書かせていただきました。実際、その種の事は、どういった手法を用いようとも、ご本人の価値観・美意識によるもので、「~しなければならない」という類のものではないと考えるからで、その考えは今も変わっておりません。
しかしながら今回は、ちょっとそれに逆らって、私のシャツのクリーニングの仕方について書かせていただきます。と申しますのは、「シャツのクリーニングをどうなさっていますか?」というお問い合わせメールをとてもたくさんの方から頂戴しているからです。
一番多いご質問は、クリーニングに出されているか?ご自宅でクリーニングされているか?ですが、結論から申し上げて、私は自宅でクリーニングしています。その理由は、世界的な品質と名声を誇るシャツの仕立て屋さん(私はロンドンとパリしか知りませんが)が申し合わせたようにこう言うからです。「『お邸』では、手で『洗わせて』、丁寧にプレスするよう『申しつけて』頂ければと存じます。」「クリーニングには、特にホテルのクリーニングには、決してお出しにならないで下さい。」
そう!靴屋さんでも同じ言い方をするところが多いですが、手入れをするのは本人ではなく、召し使いなのです。しかし、残念ながら私は、お邸には住んでおらず、まして召し使いなど雇える身分ではありません。ということは、洗わせるのも申しつけるのも自分自身に対してということになります(笑)。また、こうしたシャツの名店が、クリーニングに(特にホテルの)出すなというのには、それなりの理由があると思えますし、そもそもコットンは生地の出自から行っても水洗いが前提であって、ドライクリーニングでは適さないと思っています。
私は、糊の効いた仕上げが好きではありません。よく、安いクリーニングに出している奥方連の、「糊の効いたシャキッとした仕上がりで、プレスも上手で、やっぱりプロは違う。」というご意見を耳にしますが、私からすると?????と疑問です。糊を使わないとシャキッとしないのは、芯地と生地のバランスが悪いからで、『シャキッ』と糊とはあまり関係がありません。糊は生地を傷めて寿命を短くしますし、なにより着心地が最悪です。肌と擦れたりしていいことがありません。シャツを糊付け仕上げするのは、私の場合は礼装用のイカ胸のシャツだけです。
糊無しで、襟と袖はピッとしていて、その他はしなやかにすっきりと仕上がるのは、手洗い手仕上げ以外あり得ないと思っております。

前置きが長くなりましたが、私のシャツのクリーニングです。
毎日の入浴と同時にシャツをクリーニングします。まず、浴室にハンガーをかけておきます。このハンガーは、湾曲した、きちんと肩のあるもので、クリーニング店からやって来た、まっすぐ水平の樹脂製のものではありませんし、針金ハンガーは論外です(笑)。
入浴の前に、脱いだシャツをよく見て、襟や袖に汚れがあるようならプレケアをしておきます。
抗菌樹脂性の盥に、液体洗剤を入れてシャワーを浴びるくらいの温度のお湯を満たします。薄まる洗剤の濃度が、洗濯機で使う場合の六割くらいになるようにします。私の場合は、自分で調合製作した洗剤を使用していますが、市販の上質な液体洗剤でも充分だと思います。
その中に、裏返してシャツを浸します。二、三度押し洗いのようにして馴染ませたら、どこかに置いて入浴作業に集中します。
一通りの入浴作業が終わったら、シャツが浸かった盥をまた取り出して、襟と袖をチェックします。
汚れがまだあるようでしたら、老人用の柔らかい豚毛の歯ブラシで数度優しく撫でさすります(決してゴシゴシやらないように!)。
その後、何度か優しく押し洗いしたら、シャツが浸った洗剤液を捨て、シャワーを出して、同じように優しく押し洗いしてすすぎます。この間、決して絞ったり、水切りのために強く押し潰したりしないことです。
充分すすげたと判断したら、ここでも絞らずに、シャツを表に直して、濡れたままハンガーにかけます。
あとは、シャワーを浴びるなり、もう一度浴槽に浸かるなどして、ハンガーにかかったシャツを残して浴室を出ます。
あくる日には、乾くか生渇きになっているでしょう。
実際には、プレケアやブラシの処置はほとんど必要無く、シャツはすっかり奇麗になってしまいます。
シャツの汚れは、クリーニングが早くできるほど落ち易く、時間がかかるほど落ちなくなってしまいます。五枚ためて週末洗う、ということが、どれだけシャツのクリーニングに不利なことか、結果をご覧になられたらお分かり頂けるかと思います。

(C)日経MJ
(私版 のクリーニングが日経MJの取材を受けました[写真赤線内]。)
プレスは、私の場合は、前日洗ったものをすぐかける場合もあり、明日着て出かけるものを前夜にかける場合ありでまちまちですが、プレスの際に、クリーニングの仕上がりとは段違いの素晴らしい風合いや手触りに感動してしまうこと請け合いです。
私は、蒸気の出ないシンプルな、しかし3kgと重いアイロンを使っていますが、確かにアイロンは重量のあるものの方が仕上がりが良いと思いますが、そこは、ご自分の体力に合わせてご選択下さい。
ちなみに、クリーニング屋さんに、上記工程と同様にクリーニングする見積もりをして頂いたことがございますが、私が伺ったお店では、シャツ一枚2600円+消費税でした。
益々、自分でやるしかないな~、と慨嘆したのであります(笑)。
連れ合いですか?シャツの仕立て屋さんもおっしゃるように、シャツのクリーニングは「召し使い」の仕事ですから。私は、最愛の人間に「召し使い」のする仕事をさせたいとは思いません。私が、連れ合いのシャツをクリーニングすることはありますが、逆は考えた事がありません(笑)。
しかしながら今回は、ちょっとそれに逆らって、私のシャツのクリーニングの仕方について書かせていただきます。と申しますのは、「シャツのクリーニングをどうなさっていますか?」というお問い合わせメールをとてもたくさんの方から頂戴しているからです。
一番多いご質問は、クリーニングに出されているか?ご自宅でクリーニングされているか?ですが、結論から申し上げて、私は自宅でクリーニングしています。その理由は、世界的な品質と名声を誇るシャツの仕立て屋さん(私はロンドンとパリしか知りませんが)が申し合わせたようにこう言うからです。「『お邸』では、手で『洗わせて』、丁寧にプレスするよう『申しつけて』頂ければと存じます。」「クリーニングには、特にホテルのクリーニングには、決してお出しにならないで下さい。」
そう!靴屋さんでも同じ言い方をするところが多いですが、手入れをするのは本人ではなく、召し使いなのです。しかし、残念ながら私は、お邸には住んでおらず、まして召し使いなど雇える身分ではありません。ということは、洗わせるのも申しつけるのも自分自身に対してということになります(笑)。また、こうしたシャツの名店が、クリーニングに(特にホテルの)出すなというのには、それなりの理由があると思えますし、そもそもコットンは生地の出自から行っても水洗いが前提であって、ドライクリーニングでは適さないと思っています。
私は、糊の効いた仕上げが好きではありません。よく、安いクリーニングに出している奥方連の、「糊の効いたシャキッとした仕上がりで、プレスも上手で、やっぱりプロは違う。」というご意見を耳にしますが、私からすると?????と疑問です。糊を使わないとシャキッとしないのは、芯地と生地のバランスが悪いからで、『シャキッ』と糊とはあまり関係がありません。糊は生地を傷めて寿命を短くしますし、なにより着心地が最悪です。肌と擦れたりしていいことがありません。シャツを糊付け仕上げするのは、私の場合は礼装用のイカ胸のシャツだけです。
糊無しで、襟と袖はピッとしていて、その他はしなやかにすっきりと仕上がるのは、手洗い手仕上げ以外あり得ないと思っております。

前置きが長くなりましたが、私のシャツのクリーニングです。
毎日の入浴と同時にシャツをクリーニングします。まず、浴室にハンガーをかけておきます。このハンガーは、湾曲した、きちんと肩のあるもので、クリーニング店からやって来た、まっすぐ水平の樹脂製のものではありませんし、針金ハンガーは論外です(笑)。
入浴の前に、脱いだシャツをよく見て、襟や袖に汚れがあるようならプレケアをしておきます。
抗菌樹脂性の盥に、液体洗剤を入れてシャワーを浴びるくらいの温度のお湯を満たします。薄まる洗剤の濃度が、洗濯機で使う場合の六割くらいになるようにします。私の場合は、自分で調合製作した洗剤を使用していますが、市販の上質な液体洗剤でも充分だと思います。
その中に、裏返してシャツを浸します。二、三度押し洗いのようにして馴染ませたら、どこかに置いて入浴作業に集中します。
一通りの入浴作業が終わったら、シャツが浸かった盥をまた取り出して、襟と袖をチェックします。
汚れがまだあるようでしたら、老人用の柔らかい豚毛の歯ブラシで数度優しく撫でさすります(決してゴシゴシやらないように!)。
その後、何度か優しく押し洗いしたら、シャツが浸った洗剤液を捨て、シャワーを出して、同じように優しく押し洗いしてすすぎます。この間、決して絞ったり、水切りのために強く押し潰したりしないことです。
充分すすげたと判断したら、ここでも絞らずに、シャツを表に直して、濡れたままハンガーにかけます。
あとは、シャワーを浴びるなり、もう一度浴槽に浸かるなどして、ハンガーにかかったシャツを残して浴室を出ます。
あくる日には、乾くか生渇きになっているでしょう。
実際には、プレケアやブラシの処置はほとんど必要無く、シャツはすっかり奇麗になってしまいます。
シャツの汚れは、クリーニングが早くできるほど落ち易く、時間がかかるほど落ちなくなってしまいます。五枚ためて週末洗う、ということが、どれだけシャツのクリーニングに不利なことか、結果をご覧になられたらお分かり頂けるかと思います。

(C)日経MJ
(私版 のクリーニングが日経MJの取材を受けました[写真赤線内]。)
プレスは、私の場合は、前日洗ったものをすぐかける場合もあり、明日着て出かけるものを前夜にかける場合ありでまちまちですが、プレスの際に、クリーニングの仕上がりとは段違いの素晴らしい風合いや手触りに感動してしまうこと請け合いです。
私は、蒸気の出ないシンプルな、しかし3kgと重いアイロンを使っていますが、確かにアイロンは重量のあるものの方が仕上がりが良いと思いますが、そこは、ご自分の体力に合わせてご選択下さい。
ちなみに、クリーニング屋さんに、上記工程と同様にクリーニングする見積もりをして頂いたことがございますが、私が伺ったお店では、シャツ一枚2600円+消費税でした。
益々、自分でやるしかないな~、と慨嘆したのであります(笑)。
連れ合いですか?シャツの仕立て屋さんもおっしゃるように、シャツのクリーニングは「召し使い」の仕事ですから。私は、最愛の人間に「召し使い」のする仕事をさせたいとは思いません。私が、連れ合いのシャツをクリーニングすることはありますが、逆は考えた事がありません(笑)。
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