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私のハリスツイード。 -2-

今年の一月に、このブログに書かせて頂きました「私のハリスツイード」が、いよいよ仕立てのために裁断されることになりました。勿論、裁断するのは、私の仕立て屋さんことN氏です。
ハリスツイードというと重く硬い生地であるイメージですが、"あの公爵さま"が晩年おめしになられた、ツイードでウエイトもある生地ながら、ツイードの質感はそのままに柔らかくしなやかな仕立て上がりを目指しまして、裁断・仕立ての前に、地のしをはじめとする生地の下準備に時間をかけました。

いよいよ裁断です、上着の前身頃のカットを撮影してみました。
まずは、型紙に沿って生地にチャコを入れます。

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型紙をご覧になって驚く方もいらっしゃると思いますが、今回、この生地で仕立てる上着はシングルブレステッドです。このブログで最初の記事に書かせて頂いたことですが(「シングルブレステッドのトラウマ。」参照)、私は、シングルの上着を着るのは高校以来、自分の意思で着るのは人生で初めてと言ってよいでしょう。ちなみに、N氏は一人一人のお客さんに対して全くオリジナルの型紙をおこします。店の基準となる型紙があり、それをお客さんにカスタマイズする、というやり方はしません。

前身頃の輪郭のチャコが入り終わると、中側のポケット位置やダーツなどのチャコが入ります。

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チャコが入り終わると、ついに生地に鋏が入ります。チャコの線に対してある程度の余裕を持って裁断します。切れ味のよい鋏で、刃に触れると生地が勝手に二つに分かれていくようです。右と左の前身頃を、生地を重ねていっぺんに裁断する仕立て屋さんもいますが、N氏は一枚ずつ丁寧に裁断していきます。

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片側の見頃の裁断が終わると、反対側の身頃になる生地に、軽くアイロンをあてていきます。最初に裁断した身頃も、勿論、裁断前にアイロンがあたっています。

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写真の端の方の生地を見ると、ハリスツイードにしては、とてもしなやかに柔らかくなっていることがおわかりになると思います。
アイロンをあて終わると、今度は裁断し終わった身頃と、これから裁断する身頃の柄を入念に合わせていきます。

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柄合わせのチェックを済ませると、反対側の身頃の裁断です。どんなに最新式の工場のオートメーションも敵わないくらいの、スムーズで迅速な行程です。それでいて、とても緻密なのは、このレベルまで来てはじめて職人技といえるのでしょうか(笑)。

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前身頃の裁断が終わると、すでに裁断が終わっている背中側の生地も含めて、もう一度柄合わせのチェックを行います。

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確認に、N氏自ら納得がいくと、生地を優しくまとめて、身頃の裁断完了です。

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私の服は、全てのパーツの全ての工程をN氏が一人で行います。そのため、私とN氏との間では服の納期を設けずに、どんな細かいことでもお互いに時間をかけて話し合い、作業も無理をして進めないことにしています。この、他の方から見れば、現代ではナンセンスとも思えるかもしれない労力と時間が、私にとってはかけがえのない、優しく上質な服を醸成してくれるのです。
裁断が終われば、次は仮縫い。今から楽しみです。
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